商品の売上げが伸びないとき、その理由をどのように探ればよいのでしょうか?マーケティングにおいては、商品・顧客・市場などに関する様々な分析手法がありますが、商品のアンケートを取ってみても、ターゲット像を洗い出してみても、売り上げの向上に繋がる結果が出ないと頭を抱えるマーケティング担当者は多いのではないでしょうか。

その原因は、売れる要因に比べ、売れない要因を明確に特定する方が難しいためだと考えられます。例えば、アンケートなどを通じてその商品を買った理由を顧客から聞き出すことはできても、買わなかった理由を答えてもらうことは困難です。なぜなら、消費者は選んだ商品に対して買う理由やこだわりを見出していても、選ばなかった商品については特に意識していないことが多いからです。

では、売れない要因を探ることは本当にできないのでしょうか。

ウフルアナリティクスはこの課題を、ロジスティック回帰分析という分析手法によって解決したことがあります。ロジスティック回帰分析とはどのような方法なのか、それによってどんな分析結果を得られるのかについてご説明します。

ロジスティック回帰分析の概要

ロジスティック回帰分析とは多変量解析の一種で、求めたい解(y=目的変数)が「あり、なし」や「購入、非購入」といった二項対立の場合に用いることのできる分析手法です。説明変数を複数設定でき、それぞれの説明変数の目的変数に対する影響の大きさを導き出せるので、「購入に最も影響する説明変数はどれか」という分析結果を得ることができます。

ロジスティック曲線のイメージ図:

今回の「商品が売れない要因を探る」という分析ケースにおいては、「商品が売れないのは消費者にとって買う要因が少ないからである」という仮説を立て、このロジスティック回帰分析により「購入されない商品における購入要因の充足度を探る」というアプローチを試みました。

具体的な分析方法の設計

今回のケースでは分析対象データとして、分析対象の商品と競合の商品/ブランドを対象とした消費者へのアンケート調査結果を用いることにしました。このアンケートには、ロジスティック回帰分析に適した形式の調査票を用意する必要があります。分析対象とするすべての商品/ブランドを同じ要素で比較しなければならないので、設問の選択肢×商品/ブランドというマトリックス形式の調査票を作成しました。

回答者にはすべての設問でそれぞれの商品/ブランドについて、Webで用意した項目に沿って回答を選んでもらいました。調査票の冒頭では、まずそれぞれの商品/ブランドの認知状況(知っている/知らない)を確認し、認知していない商品/ブランドはそれ以降、回答者に表示されないようにしました。このように回答者の認知している商品/ブランドだけが質問として表示される状態で、目的変数となる「購入した、購入しない」を聴取します。その後、「購入場所」や「情報源」、「ブランドイメージ」、「商品イメージ」など購入に関する設問に回答してもらいました。

得られたアンケート結果の総レコードをロジスティック回帰分析にかけると、全体としての購入要因が示されます。購入要因となる説明変数それぞれの「購入への影響力」が数値化されるので、この数値を各商品/ブランドの設問ごとの回答割合(%)に掛け合わせれば、商品/ブランドごとの購入要因に対する充足度が算出できます。

この結果をレーダーチャートなどで可視化すると、充足度の低い箇所が歴然と現れます。そこが分析対象商品における「買われない理由」となります。さらに、競合商品のレーダーチャートと比較すれば、競合に対する弱みも浮き彫りになります。

購入要因を表すレーダーチャートの例:

このような形で「購入されない要因」を定量的に特定し可視化するとともに、競合とのギャップを把握することで、売り上げの向上のために取るべき戦略が見えてきます。購入要因の影響数値を用いて売り上げのシミュレーションもできるため、「どの購入要因にアプローチするのが最も効率的か」などの方針も検討しやすくなります。

さらに具体的な施策に落とすためには、「重要な購入要因であるにもかかわらず弱い箇所」に限定した追加分析が必要となりますが、その際にも調査の範囲が限定されるため効率よく分析を実施することができます。

まとめ

以上が、ロジスティック回帰分析の概要と主な活用方法の例になります。「商品が売れない要因を特定する」など、行動に現れない消費者の心理を洗い出したいときには、このようなアプローチ方法も検討してみるのもいいかもしれません。

この記事を書いた人
大竹 由美
Otake Yumi

データアナリティクス部 戦略分析グループ リード・アナリティクスディレクター

調査会社で海外の文献調査に従事後、株式会社アイスタイル(@cosme運営)で、ログ分析に基づくウェブサイトのディレクションを担当。
シンクタンク、コンサルティング会社にて生活者アンケートをメインとする調査業務に携わったのち、ウフルに参画。ウフルでは、リード・アナリティクスディレクターとしてプロジェクトに参加。

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