画像・動画に特化し、独特のおしゃれな世界観で爆発的な人気を誇るインスタグラム。ビジネスアカウントを運用している企業も増えましたが、ただのリリース発信場所になっていたり、支援会社に任せっきりの方もいるのではないでしょうか。インスタグラムで消費者ニーズを発見するため3つのデータの見方をご紹介します。
 

SNSマーケティングでできること

インスタグラムに限らず、Facebook・TwitterなどのSNSは幅広いマーケティング戦略に活用することができ、次々と新たな機能やマーケティング手法が出てきています。
SNS投稿から消費者心理や行動を把握するマーケティングリサーチをソーシャルリスニングとも言い、新しいビジネスの開発やサービス改善などへのアイデアの種も詰まっています。
ですが、同じSNSでもそれぞれ特徴は大きく異なります。自社のブランド・商品のターゲット層や強み、目指すゴールや分析の目的を明確にした上で、どのSNSを使うのが適切か判断しましょう
 

インスタグラムから特定エリアを分析

日本国内の月間利用者数が2900万人を突破し、ストーリーやEC連携など機能も増え、急速に成長しているインスタグラム。その特性から10~30代の若い女性層から圧倒的な支持を得ています。
今回は、「サラリーマンの町・新橋は若い女性でも楽しめる街なのか」を、インスタグラムの3つのデータを通して見ていきます。若い女性の比率が高いインスタグラムユーザーが、新橋をどのように楽しんでいるかを見ることで、新橋への店舗出店やメニュー開発、O2Oマーケティングなどに活かすヒントを探します。
 

新橋と銀座、駅を隔てた仁義なき戦い?

街頭インタビューでもお馴染みの「サラリーマンの街・新橋」。主要なオフィス街に囲まれ、安価な価格帯の飲食店が無数に軒を連ねるコスパの良いこの街は、街の印象に関するアンケートでも「サラリーマン」「おじさん」などのワードが並びます。
(参照:マクロミル/2006年『東京・街のイメージ』調査
ところがインスタグラムで#の投稿数を調べると、東京の他の主要駅と比べて少なく、インスタグラムユーザーからの注目が低めなのがわかります。
 
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新橋駅をはさんで反対側の銀座と比べても歴然。そこで比較のため、「#新橋」と「#銀座」の投稿から、どんなものに注目が集まっているかを見ていきます。
 

ユーザー心理を発見する3つのデータ/「新橋女子」のニーズを探る!

 
その① 王道「ハッシュタグかけあわせ」
Instagram APIを利用し、「#新橋」「#銀座」が付いた投稿データを1000件ずつ抽出したところ、それぞれの投稿1000件に含まれるハッシュタグ数は下記表の通り。1件あたりの投稿に含まれる#数も、#の種類も銀座が多い結果に。
 
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拡散のためには「#」の付け方は重要ですが、その重要度をより理解しているのは#銀座の投稿者のようです。さらに、#を種別ごとにカテゴライズした結果が下記です。同じハッシュタグが10件以上あるものをピックアップしています。
 
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※「noise」は特定のアカウントから大量にアップされたと思われる投稿に付けられた#のため、除外して考えます。
 
やはり新橋は飲食に関する#が多いですね。双方の「料理ジャンル・商品名」のカテゴリをドリルダウンすると、新橋はアルコールの種類や居酒屋のメニューのような料理名がならび、銀座にはワイン・スイーツに関するワードがいくつかありました。これはイメージ通りですね。意外な印象を受けたのは、下記の「どういったイベントや遊び目的で来たか」を表す「目的:遊び・趣味・イベント」のカテゴリ。
 
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新橋に「デート」「女子会」があるのに銀座には無いのが少し意外です。安易には言えませんが、案外こういったカラーを前面に押し出すキャンペーンを新橋で行うと若い世代の女性の来訪が増えるのかもしれません。「御朱印」も面白いですね、女性が好きそうなワードです。該当の投稿をいくつか見ると、烏森神社の令和改元記念の御朱印に関する投稿でした。飲み屋街のど真ん中にある烏森神社だからこそできるタイアップ企画を打てれば集客やPR効果がありそうです。
他にもInstagramならではなのが、フォロワー集め・拡散用のカテゴリです。
 
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新橋は、「麺スタグラム」「日本酒好きな人と…」など食に関する具体的な#が目立ちます。新橋エリアで食関連の独自#を作り、若い世代のコミュニティを作りながらPRする施策も楽しそうです。
 
その② 写真に自動で付けられる「Alt属性」
Alt属性(オルト属性)とは、画像の代わりとなるテキスト情報を指します。画像が表示されなかった時や音声読み上げブラウザでは、Alt属性の内容が代替手段(alternative)としてテキストで表示、または読み上げられ、SEO対策としても重要です。インスタグラムでは投稿者が手入力できる他、Facebookの【オブジェクト認識機能技術】によってイメージに合うテキストが自動で適用されます。
 
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#新橋の投稿1000件に含まれていたAlt属性は1810個。写真に含まれる人数や、人の状態(立っている、座っている)などの他、動物では「cat」、飲食物では「sushi」「pizza」など種類まで特定しているケースもあります。人数に関してはかなり正確なようです。
 
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ですが、ポスター内の人間とリアルの人間の判別がつかない、Alt属性と実際の写真の中身が一致していない、など課題もまだあります。徐々に改良されているようですので、自動認識がより正確になれば、より便利にマーケティングに活かせそうです。
「#新橋」投稿では「1person」が圧倒的に多く、撮影者も考えると2人組の客が多いのでしょうか。狭い店舗の多い新橋では2人組を想定した商品づくりやキャンペーンをするといいかもしれません。
 
その③ ユーザー行動を正確にキャッチ「位置情報」
インスタグラム投稿時に、投稿者が位置情報を追加することができるので、各スポットの位置情報からO2Oマーケティングなどへの活用が見込めます。今回は「新橋」「新橋駅」の位置情報が付いた投稿を抽出してみましたが、このテーマでは有効なインサイトは発見できませんでした。
また、2018年のInstagram APIの廃止決定で、2020年までに投稿毎の位置情報のデータ抽出はできなくなる見込みです。ビジネスアカウントであればインサイトからフォロワーの住むおおよそのエリアを見るか、撮影場所を知りたい時は「#」で追いかけたほうがよさそうです。
逆にユーザーから見ると、位置情報を起点に思いもよらぬ情報に巡り合う機会が増えることを考えれば、位置情報はビジネスアカウント側がキャンペーンなど「プッシュな施策」でしっかり活用することが大切です。
 

注意! SNSで蓄積・取得できる情報は常に変化する

データを読み解くにあたり、注意すべき点があります。
 
●雑音に注意!
特定のアカウントから大量に投稿される雑音は除外して見るようにしましょう。ツールに頼りすぎると見逃しがあるので、都度、実際の投稿やローデータを見直しましょう。
 
●対象サンプルに注意!
今回は1000件の投稿を1回で取得しました。1000件程度であれば、時間帯や曜日、季節性の影響を受けます。サンプルに偏りがないよう考慮しましょう。
 
●プラットフォームの変化に注意!
2018年に話題になったInstagram API廃止→新APIへの移行で、インスタグラムから読み取れるデータはかなり変わりました。GDPRはじめ個人情報に関する環境の変化がある以上、プラットフォームの突然の仕様変更は回避できません。柔軟にデータ取得方法や見るべきKPI、ツールの見直しをしていきましょう。
 

まとめ

いかがでしたか?漫然と数値を見るのではなく、インスタグラムの様々なデータを活用することで、新橋の意外な「女性向き」ニーズが見えてきました。インスタグラムでは、ビジネスアカウントの運用や広告やキャンペーンなどの「プッシュな施策」だけを行うのではなく、データからビジネスに活かせる情報を読み取ることも大切です。
とはいえ、めまぐるしく変化する、SNSデータの「できる・できない」や、適切な分析方法・ツールの選定、さらにはSNSマーケティングの最新情報のキャッチアップなど全てにアンテナをめぐらせるのは大変です。
ウフル・アナリティクスでは、SNSマーケティングや分析の設計~実行、戦略や施策立案まで、フェーズや目的に合わせて幅広くご提案が可能です。お気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
丹後 春香
Haruka Tango

データアナリティクス部 戦略分析グループ アナリティクスディレクター

IT系人材サービスを提供する法人営業としてキャリアをスタートし、その後デジタルマーケティング・ブロックチェーンなどの人材育成プログラムの企画・開発に従事。同時にアライアンスやマーケティング等を幅広く経験。ウフルでは、アナリティクスディレクターとして参画。

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