現在多くの企業でBI(ビジネスインテリジェンス)ツールの導入が試みられています。BIツールはデータ分析の専門家でなくともデータを集計・分析し、ビジネス上の意思決定に役立てることができるツールです。
しかし、すべての企業がBIを最大限活用できているとはまだまだ言い難い状況です。導入してみたものの、結果的に活用しきれずそのままになってしまったというケースも多くあります。
BIツールを導入する上で重要なことは、BIツールにより何を実現したいのか、そのためにどのようにBIツールを活用するのかを、ツールの機能に依存することなく明確化しておくことです。自社においてデータを使って解決したいことは何なのか、そのためにはどのような機能を持つBIツールを選ばなければならないのかを知る必要があります。
BIツールで解決できる主な課題
1: データ集計に手間がかかる
部門ごと、指標ごとに異なる管理ツールを使用していることなどが原因で、データが散逸していたりフォーマットがバラバラだったりするために一元管理ができず、担当者がデータをExcelにまとめ直すといった多大な工数がかかっているケースがよくあります。
このようなケースは、ソースを横断したデータ集計機能を持つBIツールによって解決できます。多くのBIツールには、社内のPCやクラウドサービスなど、様々なシステムに蓄積されたデータを統合し、複数のデータから分析対象となるデータを抽出する機能が備わっています。システムやファイルにより形式が異なるデータを取り込むこともでき、社内外のデータを横断して分析することが可能です。
2: 複数のデータを横断した複雑な分析ができない
複数のデータを比較し複雑な分析を行う必要がある場合、Excelでの手作業などの方法だけでは限界があります。このような場合はBIツールに備わっているデータマイニング機能を活用することをおすすめします。データマイニング機能を使うことで、データ分析の専門家でなくとも、クロス分析・相関分析・回帰分析などの複雑な処理を蓄積されたデータに行うことができ、高度な分析を実現することが可能です。
また、アドホックな分析を行いたい場合はOLAP分析機能と呼ばれる分析機能も役立ちます。OLAPとは「Online Analytical Processing (オンライン分析処理)」を表し、データベース上の大量のデータに対し複雑な集計・分析を行い、すばやく結果を提示することができる機能です。定型的で時間のかかる通常のデータベースによるデータ集計と比較してすぐに結果を返すことができるので、特殊な分析や定型化されていない分析に役立ちます。
CDPが実現する新たなマーケティング施策
属性に基づいたマスマーケティングにおいては、ユーザーの立場から見ると必要ない情報が求めていないタイミングで届けられる状態になります。そのため、広告などのマーケティング施策がユーザーの利益にならず、逆にユーザーから嫌われてしまうという状況を生み出していました。しかし、CDPを活用することで、ユーザーにとって有益な情報を適切なタイミングで届けることができます。これにより、まるで実際の店舗でお客様に接客をするような世界観による関係構築が実現します。
また、オンラインマーケティングの長所である収集したデータの活用によるターゲットイメージの深掘りや、時間と場所を問わないコミュニケーションチャネルでのコミュニケーションを生かすこともできます。つまり、「リアル×オンライン」という新しいマーケティングの切り口を広げることができます。
重要なのは目的から仮説を立ててBIツールを選定すること
データ分析を行う際には「仮説を持つ」ことが重要です。例えば「Webサイトの回遊率を上げたい」と「Webサイトからのコンバージョンを増やしたい」という目的では見るべき指標は変わってきます。目的が曖昧なままBIツールを導入して失敗する例が非常に多く見られますが、漠然とデータを眺めるのではなく、「データから何についての示唆を得たいか」を意識しながらBIツールを活用してデータを見ることが重要になります。
分析の仮説構築や要件定義はビジネス戦略にも大きく関わるため、現場の担当者だけでは難しいという場合もあるかと思います。ツールに依存しない分析要件の定義は専門家への依頼も検討してみることをおすすめします。ウフルアナリティクスでもご対応可能ですので、BIツールの活用でお悩みの際はお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
山根 英彦
Yamane Hidehikoデータアナリティクス部 戦略分析グループ アナリティクスディレクター
前職では主にSNSやWeb広告を通じたtoC向けプロモーションに従事。本質的なユーザーとのコミュニケーションを重視し、広告運用からライティングまでWebマーケティングに関わる領域を幅広く経験。
ウフル参画後は主にWebを通じたサービスやプロダクトのグロースを担当。データに基づくユーザー行動の分析や導線設計を通じて顧客獲得のためのマーケティング設計をサポートしている。